嘔吐/スカ大小/コックリング?


森の奥の人など住んでいなさそうな屋敷の中。
昔はさぞ煌びやかであったのだろう荒れ果てた大広間を過ぎ、寝室らしき部屋の本棚の裏に階段を見つける。
そこを下ると手入れのされていない部屋とは不釣合いに綺麗な棺をみつけた。
「ビンゴっ……と。ベタだな」
棺の蓋に手をかける。
僕の仕事は未だ世界各地に潜む吸血鬼の生き残りを狩ることだ。
始めたのが16の時だから、もう5年もこの仕事をしていることになるのだが、今まで出会った吸血鬼達の醜さは耐え難いほどであった。
人間の血液さえあれば半永久的に若さを維持できる吸血鬼であるが、絶滅危惧種となった今、大半は餌が取れず老い痩せ細り骨と皮だけのようになっている。
しかし――
「……綺麗だ……」
棺の中で眠っている吸血鬼は、見た目は僕より少し年上であろうか、純白の肌に漆黒の髪。すっきりとした顔立ちに、通った鼻筋が美しい。
尖った耳や色の薄い唇を指でなぞるが、目を覚ます気配はない。
今殺してしまえば楽ではあるが……もったいない。
「そういえば」
聖水、ニンニク、十字架……駆け出しの頃にもしもの時のためにと買い漁った魔除けグッズの数々は、使う機会もなく鞄の底に入ったままになっていた。
「たしか……これ?」
身体に付けた相手を奴隷にできるという黒い石でできた幅広の輪。人間以外でも吸血鬼や人狼のような比較的人間に近いものたちには効果があるという。
「効くかは分からないけど」
物は試しと使ってみようとしたのだが、サイズが中途半端だ。指には大きく腕には小さい。
「まあ、いいか」
とりあえずそれは脇に置き、吸血鬼が寝ているうちに顔に劣らず美しい身体を堪能することにする。
シルクのブラウスの前を開けると、やはり純白の肌の上に色の薄い乳頭がある。
下衣は鋏で切って中途半端にだが取り除く。
初々しい淡いピンク色の性器を取り出し愛撫すると眠っている彼が鼻へ抜けるような声を出した。
「吸血鬼にも官能はあるんだな……」
丹念に指で撫でるとそれは緩く勃ち上がりぬめった液を出す。
ここで、先程の輪はここにつけるものだったのかと閃く。
「これでお前は僕の奴隷だ」
「ん、っ!?」
輪をペニスに取り付けて呟いた瞬間、まだ夕方だというのに吸血鬼が目を覚ました。
まだ眠そうな表情でゆっくりと身体を起こした彼は、自身の服の状態に気付く。
「あれ……」
寝起きであるためか掠れた低い声。
「名は?」
「ルー」
状況が飲み込めない様子の彼に訊ねると、愛称らしき答えが返ってきた。

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