強制フェラ?/嘔吐


うちの裏庭には古い蔵がある。
ある夜突然そこで凄い音がした。
「絶対何か居る! 絶対居る! 怖くて寝れない!」
裏庭に面した部屋で寝ていたユキが泣きついてきたから、俺は真夜中に懐中電灯を持って蔵に行くことになった。
ユキは俺の肩に手を置いて後ろをぴったりとついてくる。
「うっとしいんだけど」
「カズ一人じゃ怖いでしょ……?」
「怖いならついてくんなよ」
ユキ……俺の兄・幸也は、本人に言うと怒るけど、正直カマっぽい。
薄茶色の髪を肩の上まで伸ばしていて、身体は細いし肌も白い。
何より仕草がうっとうしい。
男のくせに喋るときとかいちいち左手を口元に持ってくるし、歩き方もなんか力が抜けてなよなよしてるし。
それなのに俺より8cm近く背が高い。
「整理しないからなんか崩れたんだろ……」
蔵の戸を開けて中を照らすと、箱を持って驚いたようにこっちを見る男と目が合った。
「泥棒!」
俺が怒鳴ると向こうは慌てて箱を置いた。
「警察呼ぶぞ!」
男を照らしたまま近づいていく。
「待て! すまない! 崩してしまったから片付けていただけだ!」
「なんでうちの蔵にいるんだよ!」
「カズ、この人……」
きりっとした眉、一重瞼に真っ黒な瞳、後ろで結んだ長い髪、高くはないけど整った鼻……
悔しいが男前だと思う。
それに……見覚えのある山伏のような格好。
「あ、あの箱の!」
子供の頃に蔵でみつけた、お札のようなものがベタベタと貼られた古い木箱。
お札をはがそうとしたけどどうしても取れず、蓋の隙間に爪を立てて破いた。
それでも開かないので親に頼んだところこれは開けてはならないと怒られた。
その木箱の蓋にはこの男のような絵が書いてあった。
簡単な絵で似ているとも思えないが、なんとなくあれはこいつを描いたものだという気がした。
「! 貴方がたは、封印を解いてくれた子供たちだな?」
男が目を少しだけ丸く開き、顔は笑ってないのになんだか笑ったみたいな雰囲気で言う。
「感謝している」
床に片膝をついてちょっと頭を下げる。
口調も動作も結構偉そうなのだが、こんなこと言うのもなんだけど、ちょっと可愛い。
いや変な意味じゃなくて、走っていけばついてきそうな感じだ。
ユキの同類かと一瞬思ったけど、これは違う。
「私は、その箱の中の剣に封印されていた犬神だ」
そうだ、これは、犬の可愛さだ。
「藤村家の五代前の当主に仕えていた」
「へぇー」
この怪しい犬神に、ユキは平気で話しかける。
「じゃあ守り神みたいな? 名前なんていうの?」
「藤村家の守護が主な仕事だが、家事でも雑用でも、命じられれば何でもする。
 名は……、三代目……五代前の当主には、サツキ、と呼ばれていた」
サツキって……似合わない。
今173cmのユキと並んでるサツキは、ユキよりもっと背が高い。
まあでも180はいってないかな……
178cmぐらいだろうと結論付けて、そんなことばかり気にする自分に少し落ち込む。
俺は高3にして身長が165.4cmしかない。コンプレックスだ。
「僕は藤村幸也、こっちが弟の和也。ま、とりあえず上がってよ」
ユキが笑顔で言いながらうちに戻っていく。
ついていくサツキがすうっと犬に変化した。黒い毛並みで金色の眼の大きな和犬だ。

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