「なあ、ユキ」
「え?」
「窓の外……」
さっきから白っぽい光が隙を伺うようにうろうろしている。
「うわぁあ! 何! 何あれ! 超怖い!」
振り返ったユキがぎゃあぎゃあと喚くがそんなに怖がっているようにも見えない。
「おそらく私との接触によって地縛霊か何かが見えているだけだろう。すぐに慣れ……!?」
「そなたの勘も鈍ったものだな、サツキよ」
輝く白金の狐が窓を通り抜けて来る。
「妖狐!」
「余にはカンナという名があるぞ」
狐はやけにキラキラした少年の姿になる。
「なんだ、カンナか。久しぶりだな。気付かなくて済まなかった。お前は気配を消すのが上手い」
顔は笑っているわけではないのに、また笑っているみたいなサツキは、心なしか弾んだ声で言うと少年に駆け寄る。
「そなたは余を軽侮しているだろう」
「? そんなことはないぞ?」
「しかしそれも今日で終わりだ、この150年の間に余は力を付けた。見せてやろう」
「それは楽しみだ」
言うや否や、少年……カンナの足先が床を蹴る。
「どうだ!」
宙返りしたカンナは、やっぱりやけにキラキラした女の姿になって仁王立ちしている。
「すごいじゃないか、尻尾も出ていない」
「…………」
カンナは少し顔をしかめるとまた宙返りする。
「成長したな」
サツキがキラキラした白い犬になった彼の頭を撫でる。
するとカンナが不機嫌な唸り声を出すので、サツキは少し首を傾げて手を離す。
「次はとっておきだぞ!」
少年の姿に戻ったカンナがまた宙返りする。
「どうだ、」
「! 当主様っ……」
薄茶の髪を後ろにまとめている。顔はよく見るとユキにそっくりだ。
「サツキ」
「……! やめてくれ、カンナ。私は……」
座り込んで少し頭を下げたため上目遣いになるサツキ。怯えた犬のようだ。
当主様とはおそらく俺の五代前の先祖だろう。どんなひどい男だったんだろう。
「サツキ、カンナでは駄目なのだろう?」
カンナ扮する「当主様」がサツキの頭を掴んで壁に打ち付ける。
「ぐっ……」
カンナはサツキの口を開けさせて人差し指と中指を差し込む。
サツキの着物を肌蹴させ、空いている手を彼の頭の後ろに回すと髪を結んでいた白い紐を外す。
「これが欲しいんだろう?」
「っ……」
反論しかけたサツキの口に親指も入れて口を開いたまま固定するとそそり立った雄の象徴で喉を突く。
喉の奥まで肉棒を挿し込まれ、サツキの口の端からは反射で胃から逆流してきたものが零れるが、構わずカンナは腰を前後に動かし始める。
「やめろカンナ!」
サツキの真っ黒だった瞳が金色に輝いた。
カンナが一歩後ずさって元の少年の姿に戻る。
吐瀉物を袖で拭い肌蹴た着物を整えると、サツキは犬の姿になり壁際に伏せて眼を閉じた。

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