「ジェイル、愛している」
 目を見開いた彼の唇を奪う。
「ん、ぅあ……、ふぅっ……」
 こんなことをしている間に暗殺者が来たらどうする、欲情した自分は国王を守れるのか……。ジェイルはその思いで必死に抵抗する。力で敵わないセーファスの拘束は簡単に解けた。
 唇を離し、目に生理的な涙を溜めて荒い息をつくジェイルを見て、セーファスは悲しそうに言う。
「やはり俺では不満か?」
「っ……もし、今、国王の命を……狙う者が、ぁっ」
 言い終わらないうちに下の自身を握られる。
「満更でもないようだな」
「……っ」
 キスだけで僅かに熱を持った、自分でもあまり触れることはないそれを弄られ、快感に負けそうになる。
「くっ……、っ、だめ、です」
 先端に爪を立てた国王の手首をつかみ、引き離す。
「……私には、貴方を守る義務があります」
 頬を染め、目に涙を溜め、まだ息も荒いのだが、しかし、そう言った彼は護衛隊長の顔であった。
「安心しろ、暗殺者の話は嘘だ。お前を抱くつもりだった」
「何故そんな……!」
「最初から言うと逃げられてしまうと思ったんだ……」
「…………」
 確かに、言われていたら逃げただろう。国王は本気で嫌がることなどさせない。
「お前の代わりの護衛官が外に立っているのだろう。だから安心して俺に抱かれろ。本当に嫌ならやめようと思っていたが……これだけ感じているのだから問題はあるまい」
「…………!」
 天蓋の外の、声が聞こえる程の距離に、自分の部下が立っている……。声を聞かれたかもしれない、いや、聞かれたに違いない。ジェイル恥ずかしさに頬を真っ赤に染める。
「安心しろ、27歳童貞の隊長がやっと『はじめて』をするのだ! 部下も喜ぶに決まっ」
「……!」
 調子に乗って言う年下の青年を心底憎憎しげに睨みつけつつ、その口を大きな手で塞ぐ。セーファスは負けじとその手を両手で掴み、指の間を執拗に舐める。
「ぃっ、……」
 微かな官能を感じ取り力が抜けると、間を詰められ再び口付けをされる。
「お、おやめくださ……ん、ぐっ……」
 下をまさぐられ、上げそうになった声を押さえるため袖を噛む。
「声を出せ。大丈夫だ、外に居るお前の部下には、隊長のファーストキスとバージンは頂くからそこで指を咥えておれと言ってある」
「なっ……!」
「俺と寝ろ。命令だ。男なら潔く犯されんか。服を脱がせてやろうか」
「っ……じ、自分で脱ぎます!」
 命令と聞いて、とうとう観念したらしい。手袋を外し、上着のボタンに手をかける。
「遅いぞ、早くしろ!」
 言っている間に、簡素な寝間着であるとはいえ、もうほとんど脱ぎ去ってしまった国王。その身体は細く優美なシルエットを描いているが、嗜み程度には剣術も心得ており、決して華奢ではない。
 しかし、露わになったジェイルの肉体には敗北感を感じた。

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